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ウォール・ストリート・ルールとは、「投資先企業の経営に関して不満があれば、その企業の株式を売却することで不満は解消される」という考え方。米国で最初に誕生したコーポレート・ガバナンス(企業統治)の方式であり、投資家としての意見を、株式市場を通して間接的に経営者に伝えるということを意味する。
企業(株式会社)は市場で株式を発行して資金調達をするわけであるが、市場では、その企業についての評価をすることになる。すなわち、企業の評価は結果的には株価として表れる。株価が低いということは、市場での評価が悪いことの表れであり、これは企業経営者に対する市場(投資家)からの暗黙のメッセージだととらえることができる。要するに、「市場が企業に対して監視、監督を行っているのだ」という考え方である。これをマーケット・ガバナンスという。
しかしながら、1980年代の米国では、年金基金のような機関投資家の資産規模が増大し、また証券投資理論の発展やエリサ法による分散投資の義務付けによって、株式の長期保有かつ分散投資が基本となると、年金基金等の機関投資家は投資先企業の株式を短期の動向で売却するのではなく、議決権行使を行い株主として企業経営にかかわりを持つ動きが出てきた(米国の労働省は、1988年、エイボンレターで株主の利益の観点から議決権を行使することは企業年金の受託者責任の一環であるとして、それまで禁じていた議決権行使を解禁とした)。
現在では年金基金を含めた機関投資家が企業価値の向上のために議決権行使等に積極的にコミットすることが求められるようになり、ウォール・ストリート・ルールの意義も時代とともに変容してきている。