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ホーム年金Q&A確定拠出年金に関して > 投資教育
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投資教育

投資教育については「投資教育ハンドブック」もご参照ください。

Q1
投資教育とは何ですか。なぜ投資教育が必要なのですか。
Q2
投資教育ではどのような内容を提供すればよいでしょうか。
Q3
投資教育では、運用商品の説明は必要ですか。
Q4
加入時の投資教育とそれ以降に実施する投資教育では、どのような違いがありますか。また、工夫する点や注意点はありますか。
Q5
投資教育の実施を運営管理機関等の第三者に委託するときの注意点はありますか。
Q6
勤務先の企業型年金(企業型DC)に加入することとなりました。資産運用は自分でしなければならないとのことですが、どうしたらよいでしょうか。
Q1
投資教育とは何ですか。なぜ投資教育が必要なのですか。
A1
 加入者等に対して投資教育を継続的に実施することは、確定拠出年金法第22条の規定により企業型DCを実施している事業主の努力義務とされています。
 確定拠出年金は、加入者等が自ら資産運用を行い、その運用結果に基づく給付を老後所得として受け取る仕組みの私的年金制度です。この制度が適切に運営され、老後の所得確保の手段として有効に活用されるためには、加入者等が適切な資産運用を行うための情報や知識を持っていること、老齢給付金の受給時期等の制度に関する情報や知識を持っていることが欠かせません。このような情報や知識を加入者等に提供することを、一般に「投資教育」と呼んでいます。
 なお、「投資教育」は努力義務ですので、法律には、その実施を怠った事業主への罰則は規定されていませんが、これは事業主の義務が軽度であることを意味するのではなく、投資教育の内容の当否について一律の判断が難しいことから罰則の規定を避けたに過ぎません。また、事業主の義務ではありますので果たしていない場合には、投資教育が実施されなかったために損害を被ったとして加入者の退職後に訴訟を起こされるリスクもあることを忘れてはいけません。
 企業型DC導入の趣旨を踏まえ、加入者等の利益のために、また、コンプライアンスの観点から、投資教育を継続的に実施することが必要といえます。
Q2
投資教育ではどのような内容を提供すればよいでしょうか。
A2
 投資教育と聞くと、投資理論に関する知識を提供することが全てであると考えてしまいがちです。しかしながら、確定拠出年金における資産形成を効率的にはかっていくためには投資理論だけでは不十分です。

 

 投資教育の内容について法令解釈通知では、下記4つのテーマを掲げています。

 

A)確定拠出年金制度等の具体的な内容

1.わが国の年金制度の概要及び年金制度における確定拠出年金の位置づけ

2.確定拠出年金制度の概要

①制度に加入できる者、拠出限度額、マッチング拠出の効果

②運用商品の範囲、加入者等への運用商品の提示の方法及び運用商品の預替え機会の内容

③運用の指図は加入者等が自己責任において行うこと

④指定運用方法を提示している場合は、指定運用方法の概要。指定運用方法が自身に適さない場合は、他の運用商品を選択すべきであること

⑤給付の種類、受給要件、給付の開始時期及び給付(年金または一時金別)の受取方法

⑥加入者等が転職または離職した場合における資産の移換の方法

⑦拠出、運用及び給付の各段階における税制措置の内容

⑧事業主、国民年金基金連合会、企業年金連合会、運営管理機関及び資産管理機関の役割

⑨事業主、国民年金基金連合会、運営管理機関及び資産管理機関の行為準則(責務及び禁止行為)の内容

 

B)金融商品の仕組みと特徴
 預貯金、信託商品、投資信託、債券、株式、保険商品等それぞれの金融商品についての次の事項

①その性格または特徴

②その種類

③期待できるリターン及び考えられるリスク

④投資信託、債券、株式等の有価証券や変額保険等については、価格に影響を与える要因等

 

C)資産の運用の基礎知識

①資産の運用を行うにあたっての留意点(すなわち金融商品の仕組みや特徴を十分認識した上で運用する必要があること)

②リスクの種類と内容(金利リスク、為替リスク、信用リスク、価格変動リスク、インフレリスク等)

③リスクとリターンの関係

④長期運用の考え方とその効果

⑤分散投資の考え方とその効果

⑥一律に決まるものではないが、長期的な年金運用の観点から分散投資が有用であることが少なくないこと

 

D)確定拠出年金制度を含めた老後の生活設計

①老後の定期収入は現役時代と比較し減少するため、資産形成は現役時代から取り組むことの必要性

②平均余命などを例示することで老後の期間が長期に及ぶものであること及び老後に必要な費用についても長期にわたり確保することの必要性

③現役時代の生活設計を勘案しつつ、自身が望む老後の生活水準に照らし、老後に必要となる一般的な生活費の総額を例示しつつ、公的年金や退職金等を含めてもなお不足する費用(自身が確保しなければならない費用)の考え方

④現役時代の生活設計を勘案しつつ、老後の資産形成の計画や運用目標の考え方(リタイヤ期前後であれば、自身の就労状況の見込み、保有している金融商品、公的年金、退職金等を踏まえた資産形成の計画や運用目標の考え方)確定拠出年金や退職金等を含めた老後の資産形成の計画や運用目標の考え方

⑤加入者等が運用商品を容易に選択できるよう運用リスク度合いに応じた資産配分例の提示

⑥離転職の際には、加入者等の自らの手続きにより個人別管理資産を移換し、運用を継続していくことが重要であること

 

 項目は多岐に及びますが、ここに掲げたテーマは少なくとも実施すべき内容であって、これだけを実施すれば十分だというものではないことに注意が必要です。
 理解を深めていくために必要と考えられる項目があれば、随時追加していくことが必要です。たとえば、上記の知識を実効性のあるものとするために、ライフプランニングの考え方の理解や運用計画の立て方、見直し方を学ぶなどの項目が考えられますし、金融リテラシーに関する基本的な知識、個人別管理資産の確認方法や、加入者用Webサイトのアクセス方法や活用方法などを提供することも考えられます。
Q3
投資教育では、運用商品の説明は必要ですか。
A3
 加入者等が資産運用を行うためには、投資教育によって提供される知識以外に、その規約で提示されている運用商品についての情報(商品概要や手数料、過去の運用実績等)も必要です。具体的な提示商品に関する理解のための情報提供は、運営管理機関が実施する義務を負っています。投資教育として運用商品の説明を実施するのであれば、全ての商品を網羅した説明が必要とされています。そのため、加入者Webサイト等で具体的な提示商品に関する理解のための情報が提供されています。
Q4
加入時の投資教育とそれ以降に実施する投資教育では、どのような違いがありますか。また、工夫する点や注意点はありますか。
A4
 投資教育というと、確定拠出年金制度を導入したとき又は加入したときに行う教育をイメージしがちです。しかし、加入者は投資の経験がないことが多く、一度の説明だけで理解するのは難しいでしょう。そのため導入時(加入時)はもちろん、加入後においても投資教育を実施することが必要です。一般には「導入時教育(加入時教育)」と「継続教育(継続投資教育)」という呼び方をします。

 


 

 法令解釈通知(平成13年8月21日厚生労働省年金局長通知)において、それぞれの位置付けと留意点を次のように示しています。

 

1.導入時教育(加入時教育)

 加入時には、実際に運用の指図を経験していないことから、確定拠出年金制度における運用の指図の意味を理解すること、具体的な資産の配分が自らできること及び運用による収益状況の把握ができることを主たる目的として、そのために必要な基礎的な事項を中心に教育を行うことが効果的である。

 事業主等は過大な内容や時間を設定し、形式的な伝達に陥ることのないよう、加入者等の知識水準や学習意欲等を勘案し、内容、時間、提供方法等について十分配慮し、効果的な実施に努めること。

 

2.継続教育(継続投資教育)

 加入後の投資教育は、加入時に基本的な事項が習得できていない者に対する再教育の機会として、また、制度に対する関心が薄い者に対する関心の喚起のためにも極めて重要である。

 このため、事業主等は、加入後も定期的かつ継続的に投資教育の場を提供し、加入者等の制度理解の向上や、自身のライフプランの中で適切な運用となっているかを確認するよう促していく必要がある。

 加入者が実際に運用の指図を経験していることから、加入前の段階では理解が難しい金融商品の特徴や運用等についても運用の実績データ等を活用し、より実践的、効果的な知識の習得が期待される。

 

 投資教育の実施にあたって工夫する点や注意点を「継続投資教育実践ハンドブック」の後半に「継続教育実施ガイド」としてまとめています。ぜひご参考にしてください。
Q5
投資教育の実施を運営管理機関等の第三者に委託するときの注意点はありますか。
A5
 さまざまな理由から事業主が自ら投資教育を企画し、実施することが困難であることから第三者に投資教育の実施を委託することは一般的に行われています。しかしながら、投資教育の実施を第三者に委託しても事業主の投資教育の実施義務がなくなったわけではなく、事業主自らが実施主体であることを忘れずに、積極的に関わっていく姿勢が必要です。
 法令解釈通知(平成13年8月21日厚生労働省年金局長通知)では次のように、投資教育を委託する場合の注意点を述べています。
 「事業主が確定拠出年金運営管理機関又は企業年金連合会に投資教育を委託する場合においては、当該事業主は、投資教育の内容・方法、実施後の運用の実態、問題点等、投資教育の実施状況を把握するよう努めること。また、加入者等への資料等の配布、就業時間中における説明会の実施、説明会の会場の用意等、できる限り協力することが望ましい。加入後の投資教育についても、その重要性に鑑み、できる限り多くの加入者等に参加、利用の機会が確保されることが望ましい。」
 また、投資教育を委託する第三者が法令解釈通知で規定する内容と方法に従って加入者等の利益のみを考慮して適切に投資教育を行うことができるかどうか十分に考慮したうえで委託することも指摘されています。

 

 その他のポイントとしては以下を抑えておくとよいでしょう。

 

(1)実施にあたっての課題や問題を整理し伝えておくこと

 加入者等の現状と課題を整理し、どのような投資教育をしてほしいか伝えます。また、自社の退職給付制度の全体像を担当者に理解しておいてもらうことも大切です。

 

(2)教育の内容や方法を把握すること

 事前に投資教育の内容や方法について十分な説明を受けるように努めます。できれば実際の教育と同様のロールプレイングをしてもらい、加入者代表等と一緒に聞いてみるとよいでしょう。必要に応じて改善を要望します。

 

(3)資料配布や就業時間中の開催、会場の確保など協力すること

 少なくとも導入時教育(加入時教育)は就業時間内での開催が望ましいでしょう。また、社内の会議室や講堂などを提供することでコスト削減はもちろん、参加しやすくなります。

 

(4)実施状況や効果の把握に努めること

 受講後のアンケートのほか、運用状況の変化やスイッチングのなどを確認し、投資教育の効果を確認することが大切です。

Q6
勤務先の企業型年金(企業型DC)に加入することとなりました。資産運用は自分でしなければならないとのことですが、どうしたらよいでしょうか。
A6
 企業型DCでの資産運用は、事業主が拠出した掛金で運用商品を購入することで行います。加入者は購入する運用商品とその運用商品を購入する割合を指定します。これを「配分指定」などと言います。資産運用をするためには、まずは勤務先の企業型DCから示される運営管理機関の加入者Webサイトや専用の様式を通じてこの配分指定を行う必要があります。
 この配分指定を行うために必要となる知識や情報は事業主と事業主が業務を委託している運営管理機関から提供されます。
 これらの情報は、加入時に受けた投資教育で提供されているかと思いますので、そのテキストや配布された資料(スターターキット等の名称)、加入者向けWebサイトを確認してみましょう。加入者向けWebサイトでは資産運用シミュレーションが提供されている場合があります。資産運用シミュレーションでは、仮の配分指定で資産運用のシミュレーションを行い、その結果を見ることができます。
 また、加入者Webサイトや専用の様式を通じて配分指定をする手続きの方法がわからないといった場合はコールセンターも適宜活用するとよいでしょう。
 年に1~2回(会社によって回数と時期が異なります)、運用状況をお知らせする通知書がお手元に届きます。その際には、残高を確認するとともに、残高の内訳が、自らが指定した配分指定とかけ離れてしまっていないか確認し、必要に応じて、運用商品の一部を売却し、その代金で別の運用商品を購入するという手続きを行います。これを「スイッチング」や「預け替え」と言います。
 配分指定し、定期的に残高やその内訳を確認し、必要に応じて、スイッチング(預け替え)を行っていくというのが、企業型DCでの資産運用の大まかな流れとなります。

 

 投資教育の実施にあたって工夫する点や注意点を「継続投資教育実践ハンドブック」の後半に「継続教育実施ガイド」としてまとめています。ぜひご参考にしてください。

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